○大和町男女共同参画推進基本条例
平成17年3月11日
大和町条例第1号
<前文>
私たちは,自然と共生する町民一人ひとりが物心共に豊かなゆとりある生活を営めるまちづくりを目指すため,男女が平等でかつ男と女の特性の違いは認めた上で,協力し支え合うことにより,一人ひとりがお互いを認め合い,お互いを尊重しながら,個性と能力を十分に発揮し,共に参画できる男女共同参画社会の実現を目指しています。
しかしながら,今もって男と女の性別的違いは,性別による固定的な役割分担意識等に基づく社会の制度や慣行として残されており,就業の場における男女間格差,さまざまな分野における参画の不平等,さらに,出産期と子育て期における女性の労働力率の低下等,男女共同参画社会の実現のためには,解決しなければならない多くの課題があります。
このような現状を見直すとともに,「日本国憲法」,「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」及び「男女共同参画社会基本法」の理念を踏まえ,男と女の特性の違いは認めた上で,男女が対等な構成員としてお互いの人権を尊重し,責任を分かち合うことができる男女共同参画社会の実現が重要となるものです。
ここに,男女共同参画社会の実現に向け,町,町民及び事業者が協働して,男女共同参画のまちづくりに取り組むことを決意し,この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は,男女共同参画のまちづくりに関し,基本理念を定め,町,町民及び事業者の役割を明らかにするとともに,男女共同参画のまちづくりに関する施策の基本となる事項を定めることにより,男女共同参画のまちづくりを総合的かつ計画的に推進することを目的とする。
(1) 男女共同参画のまちづくり 男女が,社会の対等な構成員として,自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され,もって男女が均等に政治的,経済的,社会的及び文化的利益を享受することができ,かつ共に責任を担うべき社会を形成することをいう。
(2) 積極的格差是正措置(ポジティブ・アクション) 前号に規定する機会に係る男女間の格差を是正するために必要な範囲内において,男女のいずれか一方に対し,当該機会を積極的に提供することをいう。
(3) 性と生殖に関する健康と権利(リプロダクティブ・ヘルス/ライツ) 男女が共に生涯における健康維持と生殖の権利と自由を保障することをいう。
(4) 事業者 町内に事務所又は事業所を有する法人その他の団体をいう。
(5) 町民 町内に住所を有する者又は在勤若しくは在学する者をいう。
(6) ストーカー 特定の者と,特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対して,個人の身体,自由及び名誉に対する危害を加える行為をいう。
(7) セクシュアル・ハラスメント(セクハラ) 性的な言動に対する相手方の対応によって不利益を与え,又は性的な言動により相手方の環境を害する行為をいう。
(8) ドメスティック・バイオレンス(DV) 配偶者やパートナーなどの親密な関係にある者からふるわれる暴力(身体的,性的又は精神的な苦痛を著しく与える行為)のことをいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画のまちづくりは,男女の個人としての尊厳が重んじられること,男女が性別による差別的扱いを受けることがないこと,男女が個人としての能力を発揮する機会が確保されること,男女の性別に起因する暴力等がないこと,男女がお互いの性を理解し性と生殖に関する健康と権利が尊重されること,その他の男女の人権が尊重されることを旨として,行われなければならない。
2 男女共同参画のまちづくりは,性別による固定的な役割分担意識等に基づく社会の制度や慣行をなくすよう努めるとともに,これらの制度や慣行は男女の社会における活動の自由な選択に対して影響を及ぼすことのないように配慮されなければならない。
3 男女共同参画のまちづくりは,男女が社会の対等な構成員として,町における政策又は民間の団体における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されることを旨として,行われなければならない。
4 男女共同参画のまちづくりは,家族を構成する男女が,相互の協力と社会の支援の下に,子の養育,家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし,かつ就業その他の社会生活における活動を行うことができるように配慮されることを旨として,行われなければならない。
5 男女共同参画のまちづくりは,国際社会における取り組みと密接な関係があることを十分理解し,国際的協調の下に行われなければならない。
(町の役割)
第4条 町は,前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり,男女共同参画のまちづくりの促進に関する施策を総合的に策定し,及び実施するものとする。
2 町は,男女共同参画のまちづくりの推進にあたり,国及び他の地方公共団体等と連携を図り,町民及び事業者と協働して効果的な施策の推進を図らなければならない。
(町民の役割)
第5条 町民は,職場,学校,地域,家庭その他の社会のあらゆる分野において,基本理念にのっとり,積極的に男女共同参画のまちづくりの推進に努めなければならない。
2 町民は,町が実施する男女共同参画のまちづくりの促進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の役割)
第6条 事業者は,その事業活動に関し,基本理念にのっとり,男女共同参画のまちづくりの推進に努めなければならない。
2 事業者は,町が実施する男女共同参画のまちづくりの促進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(性別による権利侵害の禁止)
第7条 何人も,職場,学校,地域,家庭その他の社会のあらゆる分野において,性別による差別的扱いを行ってはならない。
2 何人も,職場,学校,地域,家庭その他の社会のあらゆる分野において,男女の性別に起因する暴力(ストーカー,セクハラ等をいう)を行ってはならない。
3 何人も,配偶者やパートナーなどの親密な関係にある者においてドメステイック・バイオレンスを行ってはならない。
(公衆に表示する情報に関する留意)
第8条 何人も,公衆に表示する情報において,性別による固定的な役割分担及び男女の性別に起因する暴力等(ストーカー,セクハラ,DV等)を助長し,及び連想させる表現並びに過度の性的な表現を行わないよう努めなければならない。
(基本的施策等)
第9条 町は,男女共同参画のまちづくりを促進するため,次に掲げる施策等を行うものとする。
(1) あらゆる分野における活動において,男女間に参画する機会の格差が生じている場合は,町民及び事業者と協力し,積極的格差是正措置が講じられるよう努めること。
(2) 審議会等における委員を委嘱し,又は任命する場合は,積極的格差是正措置を講ずることにより,男女の均衡を図るよう努めること。
(3) 男女共同参画のまちづくりに関する調査研究並びに情報の収集及び分析を行い,町民および事業者に対する情報の提供を行うこと。
(4) 男女共同参画のまちづくりに関する町民及び事業者の理解を深めるために,広報活動の充実を図ること。
(5) 学校教育,家庭教育その他のあらゆる分野の教育及び学習において,男女共同参画のまちづくりを推進するために必要な措置を講ずること。
(6) 男女共同参画のまちづくりの推進に資する人材を育成し,及び積極的な活用を図ること。
(7) 民間の団体が行う男女共同参画のまちづくりの推進に関する活動に役立つよう,情報の提供その他の必要な措置を講ずること。
(基本計画)
第10条 町長は,男女共同参画のまちづくりの促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため,男女共同参画のまちづくりに関する基本計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。
2 町長は,基本計画を策定し,又は変更するときは,大和町男女共同参画推進審議会に諮問するものとする。
3 町長は,基本計画を策定し,又は変更したときは,速やかにこれを公表するものとする。
(施策の推進体制の整備)
第11条 町は,男女共同参画のまちづくりの促進に関する施策を推進するために必要な体制を整えるものとする。
(年次報告)
第12条 町長は,毎年,男女共同参画のまちづくりの推進状況及び男女共同参画のまちづくりの推進に関する施策の実施状況を明らかにし公表するものとする。
(苦情の申出及び処理)
第13条 町長は,性別による差別的扱いその他男女共同参画の推進を阻害する要因による人権の侵害に対し,町民から申出があった場合には,関係機関との連携の下に,適切な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 町長は,町が実施する施策について,町民又は事業者から男女共同参画の推進に関する苦情の申出があった場合には,適切な措置を講ずるよう努めるものとする。この場合において,町長は,大和町男女共同参画推進審議会の意見を聴くことができる。
(大和町男女共同参画推進審議会)
第14条 男女共同参画の推進に関する重要な事項について調査審議するため,大和町男女共同参画推進審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は,町長の諮問に応じ,次に掲げる事項について調査審議する。
(1) 第10条第2項に規定する事項
(2) 第13条第2項に規定する事項
(3) 前2号に掲げるもののほか,男女共同参画の推進に必要な事項
3 審議会は,必要があると認めるときは,前項各号に規定する事項について調査審議し,町長に意見を述べることができる。
4 審議会は,町長が委嘱する10人以内をもって組織する。この場合において,積極的格差是正措置を講ずることにより,男女の均衡を図ることとする。
5 委員の任期は,2年とする。ただし,補欠の委員の任期は,前任の残任期間とする。
6 委員は,再任されることができる。
(委任)
第15条 この条例に定めるもののほか,必要な事項は,町長が別に定める。
附則