10.耳だれ地蔵(甘酒地蔵)「まほろば百選~未来への伝言~」
10.耳だれ地蔵(甘酒地蔵)【吉岡地区】
耳だれ地蔵にはこのような不思議な言い伝えが残されています。
「寛永10年(1633年)、伊達宗清がある日近くの吉田川へ魚釣りに行っての戻りに、白衣の行者が地蔵院堀で
米をといでいるのを見て、生臭い魚をあげて困らせようとした。むりやり魚を押しつけると、行者は必死に辞退したが、
宗清は行者を一刀のもとに斬り捨てそのまま地蔵院堀に投げ捨てた。
しかし斬られた行者の体は下流に流れず、流れに逆らい上流にのぼっていった。その晩、吉岡城に帰った宗清は
大変な熱病になり、眉毛、頭髪など全部抜ける奇病におかされる身となった。祈祷師に聞いたところ、今日打ち首に
した行者の祟りであるという。比の身を手厚く供養するようにと宗清は五輪塔を建てた。」
宗清は、翌年の年賀のために登城することになりましたが、途中青葉城門において登城を差し止められ打ちしおれて
吉岡城に戻りました。悶々のうちに病状が悪化し、寛永11年7月22日、35歳の若さで亡くなり、三万八千石の御家が途絶
えました。
石の地蔵さんは、子供が池に入って死亡したとき供養のために建立したものと言われています。いつの頃からか耳の
病気のとき竹筒に甘酒を入れて奉納すると治ると言われ、いつしか「甘酒地蔵」とも呼ばれるようになり、近郷近在は勿論、
遠く他県にも知れ渡り大勢の参拝者があって賑わったと言われています。