○大和町文化財保護条例
平成17年6月16日
大和町条例第29号
文化財保護条例(昭和39年大和町条例第15号)の全部を改正する。
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 有形文化財(第3条~第15条)
第3章 無形文化財(第16条~第21条)
第4章 民俗文化財(第22条~第29条)
第5章 史跡名勝天然記念物(第30条~第35条)
第6章 文化的景観(第36条~第41条)
第7章 文化財の保存技術の保護(第42条~第44条)
第8章 文化財保護委員会(第45条)
第9章 補則(第46条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は,文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第182条第2項の規定に基づき,同法及び文化財保護条例(昭和50年宮城県条例第49号。以下「県条例」という。)の規定による指定を受けた文化財以外の文化財で,町の区域内に存するもののうち重要なものについて,その保存及び活用を図るため必要な措置を講じ,もって町民の文化の向上に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例で「文化財」とは,次に掲げるものをいう。
(1) 建造物,絵画,彫刻,工芸品,書跡,典籍,古文書その他の有形の文化的所産で歴史上又は芸術上価値の高いもの(これらのものと一体をなしてその価値を形成している土地その他の物件を含む。)並びに考古資料及びその他の学術上価値の高い歴史資料(以下「有形文化財」という。)
(2) 演劇,音楽,工芸技術その他の無形の文化的所産で歴史上又は芸術上価値の高いもの(以下「無形文化財」という。)
(3) 衣食住,生業,信仰,年中行事等に関する風俗慣習,民俗芸能,民俗技術及びこれらに用いられる衣服,器具,家屋その他の物件で町民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの(以下「民俗文化財」という。)
(4) 貝塚,古墳,城跡,旧宅その他の遺跡で歴史上又は学術上価値の高いもの,庭園,橋梁,峡谷,山岳その他の名勝地で芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地,繁殖地及び渡来地を含む。),植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む。)で学術上価値の高いもの(以下「記念物」という。)
(5) 地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で町民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないもの(以下「文化的景観」という。)
第2章 有形文化財
(指定)
第3条 大和町教育委員会(以下「教育委員会」という。)は,有形文化財のうち重要なものを大和町指定有形文化財(以下「指定有形文化財」という。)に指定することができる。
2 教育委員会は,前項の規定による指定をしようとするときは,あらかじめ,指定しようとする有形文化財の所有者及び権原に基づく占有者の同意を得なければならない。ただし,所有者及び権原に基づく占有者が判明しない場合は,この限りでない。
4 第1項の指定は,告示をもって行い,当該告示があった日からその効力を生ずる。
(解除)
第4条 教育委員会は,前条第1項の規定による指定を受けた指定有形文化財が指定有形文化財としての価値を失った場合その他特殊の事由があるときは,その指定を解除することができる。
3 指定有形文化財について法第27条第1項の規定による重要文化財の指定又は県条例第3条第1項の規定による宮城県指定有形文化財の指定があったときは,当該指定有形文化財の指定は,解除されたものとする。指定有形文化財の全部が滅失したときも同様とする。
(管理又は修理の指示)
第5条 教育委員会は,指定有形文化財の所有者及び権原に基づく占有者に対し,指定有形文化財の管理又は修理に関し必要な指示をすることができる。
(所有者等の管理義務及び管理責任者)
第6条 指定有形文化財の所有者及び権原に基づく占有者は,この条例並びに大和町文化財保護条例施行規則(平成17年大和町教育委員会規則第1号。以下「規則」という。)及び教育委員会の指示に従い,指定有形文化財を管理しなければならない。
2 指定有形文化財の所有者及び権原に基づく占有者が判明しない場合は,当該指定有形文化財の管理は,教育委員会が行うことができる。
3 指定有形文化財の所有者は,特別の事情があるときは,適当な者を専ら自己に代わり当該指定有形文化財の管理の責めに任ずべき者(以下この章において「管理責任者」という。)に選任することができる。
(所有者等の変更)
第7条 指定有形文化財の所有者に変更があったときは新たに所有者となった者,指定有形文化財の権原に基づく占有者に変更があったときは新たに権原に基づく占有者になった者は,速やかに,その旨を教育委員会に届け出なければならない。
2 指定有形文化財の所有者,権原に基づく占有者又は管理責任者(以下この章において「所有者等」という。)は,その氏名若しくは名称又は住所を変更したときは,速やかに,その旨を教育委員会に届け出なければならない。
(滅失,き損等)
第8条 指定有形文化財の全部又は一部が滅失し,若しくはき損し,又はこれを亡失し,若しくは盗み取られたときは,所有者等は,速やかに,その旨を教育委員会に届け出なければならない。
(所在の変更)
第9条 所有者等は,当該指定有形文化財の所在する場所を変更しようとするときは,あらかじめ,その旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし,規則で定める場合には,届出を要せず,又は所在の場所を変更した後届け出ることをもって足りる。
(管理又は修理の補助)
第10条 町は,指定有形文化財の管理又は修理について多額の経費を要し,所有者等がその負担に堪えない場合その他必要があると認めるときは,所有者等に対し,予算の範囲内で補助することができる。
(現状変更等の制限)
第11条 指定有形文化財の現状を変更し,又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は,あらかじめ,教育委員会の許可を受けなければならない。ただし,非常災害のために必要な応急措置を執る場合又は規則で定める場合は,この限りでない。
2 前項の許可には,当該指定有形文化財の保全のために必要な限度において,条件を付することができる。
2 教育委員会は,指定有形文化財の保護上必要があると認めるときは,前項の届出に係る修理に関し技術的な指導と助言をすることができる。
(公開)
第13条 所有者等以外のものが指定有形文化財を公衆の観覧に供しようとするときは,教育委員会の許可を受けなければならない。
2 教育委員会は,所有者等に対し,当該指定有形文化財の公開を勧告することができる。
(報告の徴取)
第14条 教育委員会は,必要があると認めるときは,所有者等に対し,当該指定有形文化財の現状又は管理若しくは修理の状況について報告を求めることができる。
(所有者等の変更に伴う権利義務の承継)
第15条 所有者等に変更があったときは,新たに所有者等となった者は,当該指定有形文化財に関しこの条例に基づく教育委員会の命令,勧告,指示その他の処分による旧所有者等の権利義務を承継する。
第3章 無形文化財
(指定)
第16条 教育委員会は,無形文化財のうち重要なものを大和町指定無形文化財(以下「指定無形文化財」という。)に指定することができる。
2 教育委員会は,前項の規定による指定をするに当たっては,指定しようとする無形文化財の保持者又は保持団体(無形文化財を保持する者が主たる構成員となっている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。
5 教育委員会は,第1項の規定により指定をした後においても,当該指定無形文化財の保持者又は保持団体として認定するに足りるものがあると認めるときは,そのものを保持者又は保持団体として追加認定することができる。
(解除)
第17条 教育委員会は,指定無形文化財が指定無形文化財としての価値を失った場合その他特殊の事由があるときは,その指定を解除することができる。
2 教育委員会は,保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなったと認められる場合,保持団体がその構成員の異動のため保持団体として適当でなくなったと認める場合その他特殊の事由があるときは,その認定を解除することができる。
4 指定無形文化財について,法第71条第1項の規定による重要無形文化財の指定又は県条例第16条第1項の規定による宮城県指定無形文化財の指定があったときは,当該指定無形文化財の指定及び当該指定無形文化財の保持者又は保持団体の認定は,解除されたものとする。
(保持者の氏名変更等)
第18条 保持者が氏名若しくは住所を変更し,又は死亡したときその他規則の定める事由があるときは,保持者又はその相続人は,速やかに,その旨を教育委員会に届け出なければならない。保持団体が名称,事務所の所在地若しくは代表者を変更し,構成員に異動を生じ,又は解散したときも,代表者(保持団体が解散したときにあっては,代表者であった者)について,同様とする。
(保存の補助)
第19条 町は,指定無形文化財の保存のため必要があると認めるときは,保持者,保持団体その他その保存に当たることを適当と認めるものに対し,予算の範囲内で補助することができる。
(公開)
第20条 教育委員会は,指定無形文化財の保持者又は保持団体に対し当該指定無形文化財の公開を,指定無形文化財の記録の所有者に対し当該記録の公開を勧告することができる。
(保存に関する助言又は勧告)
第21条 教育委員会は,指定無形文化財の保持者又は保持団体その他その保存に当たることを適当と認めるものに対し,その保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。
第4章 民俗文化財
(指定)
第22条 教育委員会は,有形の民俗文化財のうち重要なものを大和町指定有形民俗文化財(以下「指定有形民俗文化財」という。)に,無形の民俗文化財のうち重要なものを大和町指定無形民俗文化財(以下「指定無形民俗文化財」という。)に指定することができる。
(解除)
第23条 教育委員会は,指定有形民俗文化財又は指定無形民俗文化財が指定有形民俗文化財又は指定無形民俗文化財としての価値を失った場合その他特殊の事由があるときは,その指定を解除することができる。
3 指定有形民俗文化財又は指定無形民俗文化財について法第78条第1項の規定による重要有形民俗文化財若しくは重要無形民俗文化財の指定又は県条例第22条第1項の規定による宮城県指定有形民俗文化財若しくは宮城県指定無形民俗文化財の指定があったときは,当該指定有形民俗文化財又は指定無形民俗文化財の指定は,解除されたものとする。指定有形民俗文化財の全部が滅失したときも,同様とする。
(指定有形民俗文化財の現状変更等の届出等)
第24条 指定有形民俗文化財の現状を変更し,又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は,あらかじめ,その旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし,非常災害のために必要な応急措置を執る場合又は規則で定める場合は,この限りでない。
2 教育委員会は,指定有形民俗文化財の保護上必要があると認めるときは,前項の届出に係る現状変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し必要な指示をすることができる。
2 教育委員会は,所有者等に対し,当該指定有形民俗文化財の公開を勧告することができる。
(指定無形民俗文化財の記録の公開)
第27条 教育委員会は,指定無形民俗文化財の記録の所有者に対し,当該記録の公開を勧告することができる。
(指定無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財に関する補助)
第29条 町は,指定無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財に関し必要があると認めるときは,予算の範囲内で補助することができる。
第5章 史跡名勝天然記念物
(指定)
第30条 教育委員会は,記念物のうち重要なものを大和町指定史跡,大和町指定名勝又は大和町指定天然記念物(以下「指定史跡名勝天然記念物」と総称する。)に指定することができる。
(解除)
第31条 教育委員会は,指定史跡名勝天然記念物が指定史跡名勝天然記念物としての価値を失った場合その他特殊の事由があるときは,その指定を解除することができる。
3 指定史跡名勝天然記念物について法第109条第1項の規定による史跡,名勝若しくは天然記念物の指定又は県条例第32条第1項の規定による宮城県指定史跡,宮城県指定名勝若しくは宮城県指定天然記念物の指定があったときは,当該指定史跡名勝天然記念物の指定は,解除されたものとする。指定史跡名勝天然記念物の全部が滅失したときも同様とする。
2 教育委員会は,前項の規定による指定をしようとするときは,あらかじめ,当該指定史跡名勝天然記念物の所有者及び権原に基づく占有者並びに指定しようとする団体の同意を得なければならない。
(現状変更等の制限)
第34条 指定史跡名勝天然記念物の現状を変更し,又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は,あらかじめ教育委員会の許可を受けなければならない。ただし,非常災害のために必要な応急措置を執る場合又は規則で定める場合は,この限りでない。
第6章 文化的景観
(選定)
第36条 教育委員会は,景観法(平成16年法律第110号)第8条第2項第1号の規定により県が定める景観計画区域内にある文化的景観のうち,重要なものを大和町選定文化的景観(以下「選定文化的景観」という。)として選定することができる。
(解除)
第37条 教育委員会は,選定文化的景観が選定文化的景観としての価値を失った場合その他特殊の事由があるときは,その選定を解除することができる。
3 選定文化的景観について法第134条第1項の規定による重要文化的景観の選定又は県条例第38条第1項の規定による宮城県選定文化的景観の選定があったときは,当該選定文化的景観の選定は,解除されたものとする。選定文化的景観の全部が滅失したときも同様とする。
(滅失又はき損)
第38条 選定文化的景観の全部又は一部が滅失し,又はき損したときは,所有者又は権原に基づく占有者(以下この章において「所有者等」という。)は,速やかに,その旨を教育委員会に届け出なければならない。
(管理に関する勧告)
第39条 教育委員会は,管理が適当でないため選定文化的景観が滅失し,又はき損するおそれがあると認めるときは,所有者等に対し,管理方法の改善その他管理に関し必要な措置を勧告することができる。
(現状変更等の届出等)
第40条 選定文化的景観に関しその現状を変更し,又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は,現状を変更し,又は保存に影響を及ぼす行為をしようとする日の30日前までに,その旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし,非常災害のために必要な応急措置を執る場合又は規則で定める場合は,この限りでない。
2 教育委員会は,選定文化的景観の保護上必要があると認めるときは,前項の届出に係る現状の変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し必要な指導,助言又は勧告をすることができる。
(現状等の報告)
第41条 教育委員会は,必要があると認めるときは,所有者等に対し,選定文化的景観の現状又は管理若しくは復旧の状況につき報告を求めることができる。
第7章 文化財の保存技術の保護
(選定)
第42条 教育委員会は,伝統的な技術又は技能で文化財の保存のために欠くことのできないもの(以下「保存技術」という。)のうち,保存の措置を講ずる必要があるものを大和町選定保存技術(以下「選定保存技術」という。)として選定することができる。
2 教育委員会は,前項の規定による選定をするに当たっては,選定しようとする保存技術の保持者又は保存団体(保存技術を保存することを主たる目的とする社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。
(解除)
第43条 教育委員会は,選定保存技術について保存の措置を講ずる必要がなくなった場合その他特殊の事由があるときは,その選定を解除することができる。
2 教育委員会は,保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなったと認められる場合,保存団体が保存団体として適当でなくなったと認める場合その他特殊の事由があるときは,その認定を解除することができる。
4 選定保存技術について法第147条第1項の規定による選定保存技術の選定又は県条例第44条第1項の規定による宮城県選定保存技術の選定があったときは,当該選定保存技術の選定は,解除されたものとする。
5 保持者が死亡したとき又は保存団体が解散したとき(消滅したときを含む。以下この項において同じ。)は,当該保持者又は保存団体の認定は解除されたものとし,保持者のすべてが死亡したとき又は保存団体のすべてが解散したときは,選定保存技術の選定は解除されたものとする。
第8章 文化財保護委員会
第45条 教育委員会に,大和町文化財保護委員会を置く。
2 保護委員会は,この条例の規定によりその権限に属された事項を調査審議するほか,教育委員会の諮問に応じ,文化財の保存及び活用に関する重要事項を調査審議する。
3 保護委員会は,委員5人以内で組織する。
4 委員は,学識経験者のうちから,教育委員会が委嘱する。
5 委員の任期は,3年とする。ただし,補欠の委員の任期は,前任者の残任期間とする。
6 委員は,再任されることができる。
第9章 補則
附則
(施行期日)
1 この条例は,公布の日から施行する。
3 この条例の施行の日前に現に改正前の条例の規定による文化財保護委員会の委員である者の任期は,改正前の条例の規定による任期とし継続するものとする。