第二十六回原阿佐緒賞受賞作品
原阿佐緒賞受賞作品一覧のページです。
本ページでは、最新回は全受賞作品、過去回は一般の部「原阿佐緒賞」受賞作品をご紹介します。
「第二十六回原阿佐緒賞」全受賞作品
宮城県大和町宮床出身の女流歌人「原阿佐緒」にちなみ創設された「原阿佐緒賞」が、今回で第二十六回目を迎えました。
全国の皆さんから、一般の部418名から812首、青少年の部1,895名から2,905首の応募があり、選考の結果、次の作品が選ばれました。
選者は 小池 光 氏、秋山 佐和子 氏、皆川 二郎 氏です。
一般の部
賞 |
歌 |
お住まい |
氏名 |
---|---|---|---|
原阿佐緒賞 |
伊豆沼の命どよめく暁に息のむ妻の肩を抱きぬ |
宮城県仙台市 |
川合 進 |
優秀賞 |
被災者の微笑み悲しマスコミに問はれる度に顔に浮かべて |
愛知県小牧市 |
中野 秀秋 |
カセットの授業の声のいきいきとはじめて知りぬ教壇の母 | 岩手県宮古市 |
岩泉 美佳子 |
|
田守りし父の遺骨は秋晴れの刈田を進む母に抱かれて |
宮城県仙台市 |
加藤 優子 |
|
どことなく似た顔並ぶ父親の三十七回忌賑やかに過ぐ |
宮城県仙台市 |
秋場 節子 |
|
ゆふぐれにひかりはじめる観覧車地球の上の小さな地球 |
宮城県多賀城市 |
渋谷 文恵 |
青少年の部
賞 | 歌 |
学校 |
学年 | 氏名 | |
---|---|---|---|---|---|
優秀賞 | 小池 光 選 |
祖母の手にハンドクリーム塗りながら七面鳥のようだと思う |
宮城県気仙沼高等学校 |
2 |
佐藤 みちる |
秋山 佐和子 選 |
元旦に七ヶ浜までチャリで行く四時間漕いで見た初日の出 |
宮城県黒川高等学校 | 1 |
天野 斗陽 |
|
皆川 二郎 選 |
波見つめ広がる海に心を映し輝く光にふと手をのばす |
宮城県泉高等学校 | 2 |
藤田 梨暖 |
|
奨励賞 | 小池 光 選 |
道端のコンクリートの隙間には意志を貫く一輪の花 |
大和町立大和中学校 | 2 |
堀籠 悠愛 |
教室の窓から見える山脈が帽子をかぶる冬の訪れ |
宮城県古川工業高等学校 |
1 |
平澤 碧人 |
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テレサテン時の流れに身をまかせこの歌聴いて卒業します |
宮城県古川工業高等学校 |
3 |
高橋 悠太 |
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白き雪降り積む庭に音もなくひとり歩めば軌跡残れり |
宮城県気仙沼高等学校 |
3 |
田沢 美月 |
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大空と雪に包まれはっと知る我が身はなんと小さきものと |
宮城県泉高等学校 |
2 |
亀田 知哉 |
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秋山 佐和子 選 | 水筒の裏の汚れをゴシゴシ流すこびりついてる汚れとともに |
大衡村立大衡中学校 |
2 |
大野 心麦 |
|
七ツ森自分の周り一晩で大きな空と白い景色だ |
大和町立大和中学校 |
2 |
堀籠 武尊 |
||
月明かり照らす影にも話しかけひとり夜道を歩む我が声 |
宮城県塩釜高等学校 |
1 |
今野 智貴 |
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ああ波よ私も砂で編み上げた入道雲に連れ去ってくれ |
宮城県古川黎明高等学校 | 1 |
佐々木 漣揮 |
||
喧騒後一息ついた教室を差した夕日が優しくいたわる |
宮城県宮城第一高等学校 |
1 |
佐藤 彩葉 |
||
皆川 二郎 選 |
落ち込む日悩む心で上向けば目に映りこむ虹色の橋 |
大和町立大和中学校 | 2 |
小林 夏緒 |
|
三年間残さず食べたお弁当もう終わりかと噛み締めて食う |
宮城県古川工業高等学校 | 3 |
後藤 晃誠 |
||
青春の終わりを告げる初詣スーツ身に付け一歩踏み出す |
宮城県古川工業高等学校 |
3 |
千葉 寿也 |
||
団体の優勝決まりふと見ればきらりと光る顧問の涙 |
大和町立宮床中学校 |
2 |
西條 尚史 |
||
会う度にしわが増えてく祖父の手と指切りをする長生きしてね |
宮城県名取高等学校 |
3 |
井上 菜摘美 |
※学年は応募締切時令和7年1月現在のものです。
過去の受賞作品(一般の部「原阿佐緒賞」のみ)
回 |
歌 | お住まい | 氏名 |
---|---|---|---|
第二十五回 | 半壊の蔵よりすくふ奥能登のもろみを絞る陸奥の蔵人 | 群馬県 | 遠藤 幸子 |
第二十四回 | 七ツ森といへるやまなみ見えていた父のさいごをみとりし窓に | 宮城県 | 加藤 祐子 |
第二十三回 |
秋天に陽だまりのような干し柿よ亡母(はは)のさみしさ今ならわかる |
宮城県 | 安部 律 |
第二十二回 |
生れたる牛は牛舎によろけ立ちわが指を吸う舌あたたかし | 群馬県 | 川野 忠夫 |
第二十一回 |
泡立てて包めばわづかな母の髪わが子のやうに洗ひてやりぬ |
山形県 | 池村 真理 |
第二十回 |
青びかる寒風浴びし干しサンマ荷ほどきすれば汐の匂ひす |
宮城県 |
富澤 秀子 |
第十九回 |
明かり消し闇となりたる部屋ぬちに檜の柱ほのかに香る |
宮城県 | 中嶋 良子 |
第十八回 |
墨の香に我は旅するいにしえの欧陽詢の書の美しき |
宮城県 | 佐藤 ゆみ子 |
第十七回 |
鍬やめて鋤ぐわ買はむ「全壊」の庭の茅の白根掘るため |
宮城県 | 高橋 義仁 |
第十六回 |
朝の日に等身大のわが影の映る豚舎のカーテンを上ぐ |
福島県 | 島 悦子 |
第十五回 |
大波に果てし人らのたましひの薄日と遊ぶすすき穂の先 |
宮城県 | 北辺 史郎 |
第十四回 |
つばくろのひなのごとくに我が母は我れのスプーンに口を開けをり |
宮城県 | 尾形 八重子 |
第十三回 |
ちぎりし如防潮堤の津波の跡曝れたるままに又雪が来る |
宮城県 | 佐藤 三代 |
第十二回 |
亡き夫のパジャマで編みし布草履素足に履きてシーツ干しをり |
千葉県 | 旭 千代 |
第十一回 |
死ぬほどの恋ひとつありと言いおればかなた天より哄笑聞こゆ |
宮城県 | 高橋 美枝子 |
第十回 |
秘密基地のごとくに門扉開かれて集団下校の児ら出でてくる |
宮城県 | 大和 昭彦 |
第九回 |
船形はわかき山らしドキドキと脈打つように清水湧き出ず |
宮城県 | 畠山 みな子 |
第八回 |
母を抱き共に湯槽にひたりたり小さくなりし体ささえて |
宮城県 | 木村 とみ子 |
第七回 |
二胡の音にかきみださるる思いあり弓にはげしく来る嫉妬心 |
宮城県 | 高橋 美枝子 |
第六回 |
テロのイラク津波のインド洋も渡り来し月かと思ふ晧晧と光る |
宮城県 | 大宮 源一 |
第五回 |
卒寿すぎ逝きたる母の骨拾う苦労の欠けらに言葉かけつつ |
宮城県 | 鈴木 蝶次 |
第四回 |
深き井戸の中のぞくがに見入りぬ病院ベットのわが初孫を |
青森県 | 久米 新吉 |
第三回 |
車イスに座りしままの母なれど 「北国の春」に リズムとりたり |
宮城県 | 戒野 ゆき子 |
第二回 |
麻痺の手に絵を描きゐし姉なりき遺作の紅バラ色褪せてきぬ |
宮城県 | 大井 康江 |
第一回 |
障害の人らの仕上ぐる注連飾り清やかに藁の匂ひ立つなり |
京都府 | 阪根 まさの |
更新日:2025年05月27日